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【少女革命ウテナ】薫幹の話 〜第5話 感想・考察〜

少女革命ウテナ……最高~~!!

最近、Twitterのフォロワーさんに勧められ、少女革命ウテナ」を観はじめました。いやはや……たいへん、たいへん面白い作品ですねこれは

 

観進めていく中、とうとう第5話であまりの面白さで胸がいっぱいになったので、まだ話は序盤も序盤ですが記事に感想を書きまとめていきます。語りたいのは第4話・第5話のメインキャラクター、薫幹についてです。

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薫幹、最高~~!

 

少女革命ウテナのテーマ

まだほんの数話しか見てないのにいきなりテーマの話するの?バカなの?って感じですけど、まあ聞いてください。私は少女革命ウテナを第3話まで観た段階で、この作品はきっと「女が男をやっつけるお話」なのだなぁ、と大ざっぱに捉えておりました。(大ざっぱすぎる)

あくまで現時点での私個人の印象なので、全編観た方からは見当違いだぞって思う部分が多いかもしれないですけど温かい目で見てください。許してください。

 

姫宮アンシーを狙う""が現れ、その""の哀れな支配欲を描き、主人公の天上ウテナがそいつを打ち倒すいけ好かない野郎をぶっ飛ばす。そんな感じの流れでいくのかなぁと。各話で「女にやっつけられる男」が登場し、そいつがバッサリ打ち倒されるのを見て、愉快痛快な気分になれる作品なのだろうなぁと、ざっくり思いました。

 

1話、第2話においては緑のロン毛・西園寺莢一の扱われ方が印象的でしたね。

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彼は姫宮アンシーに対する振る舞いから、その強烈な男根思想を見せつけ、視聴者たちの不快感を煽りに煽り、最期はウテナに討たれ惨めに敗北する。非常に痛快なキャラクターでした。好き。

 

人畜無害な美少年・薫幹

さて、そうした少女革命ウテナという作品のなか、第4話にて登場したのが薫幹です。

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4話のお話の構成は少しばかり変化球で、第4話の冒頭で少し先の未来の様子を描いておりました。その未来とは、幹薫が、ウテナたちの前に敵として立ちはだかる光景です。

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いずれ薫幹は、少女革命ウテナ「女が男をやっつけるお話」というテーマにおける""になる、それが決定されているということですね。

 

しかし、第4話を最後まで観たところ、一つ引っかかる点が。この幹薫という少年、まったく悪いやつには見えないということです。それどころかメチャメチャ良いやつ。姫宮アンシーを支配することに反対すらしており、姫宮に対して向けている感情は純粋な思慕。誰に対しても心優しい、芸術を尊ぶ非の打ちどころのない美少年。そりゃあ好印象です、普通に良いやつだと思いました。

 

されど、第4話冒頭にて示されている通り、彼は近いうちに天上ウテナに敵対する""になる。しかし男根太郎の西園寺莢一と比べて、薫幹にはムカつく感じが一切ない。西園寺莢一と違い、このままでは倒してもスカッとしないのでは?という疑問が湧きます。

 

さあ、第5話にてどうやって彼を""に仕立て上げるのかその仕立て上げ方にいかなる説得力を持たせるのか固唾を飲んで第5話の視聴に臨みました。

 

露出する薫幹の男根

ブラボー!第5話、ブラボー!完璧です!薫幹が""になる流れが、少女革命ウテナという作品にとっての敵役になる流れが、完璧でしたね、第5話。

 

何が完璧なのか語る前に、一旦ここで薫幹の感情をおさらいしましょう。まず彼は、姫宮アンシーを恋慕っております。第4からその様子が顕著になりました。

 

彼は過去に妹と共にピアノを楽しんでおり、その妹のピアノの音色が特別好きだった。紆余曲折あり妹はピアノを弾かなくなってしまい、薫幹は妹の音を表現することだけを目的に、ピアノを弾き続けておりました。

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そこで薫幹が姫宮のピアノを聴いたところ、どうやら姫宮のピアノの音色は妹のそれに、薫幹が追い求めていた音色と同じだそうで。これが、彼が姫宮アンシーを恋い慕う理由だと。なるほど、よく理解できます。ある種、妹と姫宮アンシーを重ねているとも言える、ぶっちゃけシスコンを拗らせてる感じですね。

 

さて、そうした感情を持つ薫幹。少女革命ウテナという作品は、彼が持つその感情に基づいて、彼が""となる筋道を素晴らしく描きました。

 

5話のなか、薫幹は、妹と生徒会長の桐生冬芽が性行為をしている様子を、間接的に目撃します。

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このシーン邪悪すぎる。(褒めてる)この時点でもう、薫幹の感情を考えると笑い転げてしまいそうです。(笑うな)

 

そして生徒会長の桐生冬芽は、「本当に大切なものは、自分の手に入れて守らなきゃ、人に取られちまうぜ、ミッキー」という言葉を薫幹に投げかけます。

 

先ほど述べた通り、薫幹はある部分において、妹への感情と姫宮アンシーへの感情とを重ねています。妹が他の男に食われる様子を目の当たりにし、姫宮アンシーが天上ウテナに支配されている現状を顧みて、彼がどう思ったか、想像するに容易いです。

 

大切なものは自分の手で守らねば。妹のピアノの音色を守らねば。姫宮アンシーを守らねば。支配されるより先に支配せねば。

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この時の目が、西園寺莢一のそれと同じなんだよな…

姫宮の心に触れることを放棄し、自分本位の欲望を押し付ける。ここまで来ると、人畜無害で純朴な美少年だった薫幹はもういません。

薫幹は、少女革命ウテナにとっての""になったのです。

 

 

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ところで幹薫の精神世界、ピンク色の天蓋付きべッドの中から桐生冬芽が雄の本能を囁きかけてくる光景、あまりにも隠喩が強すぎる…最高…

 

早く第6話が観たい

5話のこの展開の秀逸さどうでしょう!?4話で薫幹を好印象のキャラクターとして描いておきながら、5話にて支配思想に飲まれ、ウテナと対立させる過程の作り方!妹と、ピアノと、桐生冬芽と。すべての配役を使いこなし、薫幹の姫宮アンシーへの純粋な思慕が、哀れな支配欲へと変貌する流れの描き方…5億点!!

 

4話で「どうしてこんな良い奴が男根太郎になってしまうんだ?」と思わせといて、5話で「いやぁ~そりゃなるわ!男根太郎になるわ!」と深く納得させるこの手腕!いや~~少女革命ウテナ最高!(大興奮)

 

そんな気持ちが高まりすぎてもう、記事にまとめずにはいられなかった次第です。他にも色々語りたいことがたくさんあるのですが、続きが観たいのでとりあえずここまでで5話ラストシーンの、薫幹の妹の「実はピアノなんて弾けなかった」辺りの爆弾発言も絡めたことを書きたかったのですが、ひとまず切り上げます。

 

本当にまだ第5話までしか見てないので今後の回を観たら自分の解釈が全然違ってることに気付くのかもしれませんが、とにかく今のこの感動を大事にしたい。かけがえのない今を大切にしたい。

 

終わり